【今週のキーワード】「オタク」
○ざっくりいうと・・・
何か特定のモノゴトについて、非常に深い見識をもっているひとのこと。スペシャリストのさらに先。
○ちょっと詳しく・・・
「オタク」という言葉は1990年代に使われるようになりました。アニメやマンガ、ゲームに陶酔してるともいっていいほど好きで、お金や時間も省みることなく寝食を忘れて没頭する人たち、というのがステレオタイプなイメージでしょうか?下手をすると、オタク=ニートぐらいに思ってる方や、とっつきにくいなぁと思ってる方などもいらっしゃるかもしれません。
でも、オタクって実はすごいチカラを持ってるんです。どのくらいかっていうと、アメリカの大手調査会社が「イノベーションを起こすのはオタクだ!」と言い切っちゃうくらい。
なぜかというと、ひとつは何かに対して“寝食を忘れて没頭する”ぐらい熱中すると、それはもうとんでもないスキルや知識、感覚、感性を見につけているからです。しかも、企業などがお金をかけて人材育成をどんなにやっても追いつかないぐらい。全く持って別次元。何言ってるのかさっぱりわからないけれど、とにかくすごい、っていう領域にいるからです。
ふたつの理由は、“オタク”は多種多様な分野にいるということ。アニメやマンガ、ゲームだけじゃなくて、音楽や映画、劇にスポーツなどのエンターテイメント、鉄道やバス、自動車などの乗り物、ビルや家屋、橋やトンネルなどの建築・建造物、プログラミングやインターネットサービス、スマートデバイスなどのIT分野、経済や政治、歴史、その他学術分野などのオタクもいます。
みっつめの理由は突破力です。いい意味でブレーキがありません。このぐらいにしておこう、という打算的なことがほとんどありません。なぜなら、“好き”でやってるから。パワーを押さえることも、可能性を小さく見積もる必要もなく、やりたいことを貫くことができます。
つまり、こうしたいろんな分野で“寝食を忘れて没頭する”ぐらい熱中していろんな知見を得た人たちの力は、狙って作る企業のスペシャリストをはるかに凌駕したパワーと可能性をもたらす、かもしれないのです。ゆえにアメリカの大手調査会社が「イノベーションを起こすのはオタクだ!」と言ってきちゃったりするわけです。実際に、Facebookの創設者であるマイク・ザッカーバーグはハイテクオタクとして有名だし、スティーブ・ジョブズやビル・ゲイツといったITの一時代を築いたひとたちもその気質は十分にあります。
もちろん、オタクだけで全部が出来るというわけではありません。バランスが重要になります。例えばFacebookもザッカーバーグだけならハーバード大学の中だけで終わってたかもしれませんし、ジョブズだけならiPhoneをこれほど影響力のあるデバイスに進化させることもなかったかもしれませんし、ゲイツだけではWindowsもこれほど世の中に広く普及することはなかったかもしれません。それぞれのオタクを支えるチームがあったからこそ、社会的な影響力を発揮して“イノベーション”と呼べるところまでに至ったわけです。
こうして考えると、オタクが持っている可能性をしっかりと見つめなおして、チームを組んでいくことが、地域に、企業に、新しい価値をもたらす近道なのかもしれませんね。
文責:リサーチャー 渋谷