FM KITAQ 78.5 「KITAQ企画会議」

毎週金曜日21:00~ FM KITAQにて放送中の「KITAQ企画会議」公式ブログです。

【今週のキーワード】「プロボノ」

○ざっくりいうと・・・
プロがその経験とスキルを活かして社会貢献活動を行うこと。プロによるポランティア、もしくは社会投資。

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○ちょっと詳しく・・・

地域社会には、地域の人たちの頭を悩ませる課題がたくさんあります。

それは地域全体の高齢化などの大きな課題から、スマートフォンの使い方がよくわからないといった身近なものまで。
こうした課題に対して解決しようとするとき、まったく経験のないひとたちだけが集まってもなかなか前に進みません。
でももし、専門家が手伝ってくれて、一緒に動いてくれたら、大きく前に進みます。

もちろん、専門家にお願いする時はお金がかかります。
例えば弁護士などを例に取ると、1時間で5000円から1万円はします。
弁護士ではなくても、例えば経営コンサルタントなども結構なお値段がするものです。
お金があればいいのですが、なかなか十分な資金がなく、専門家に頼めないなんてことはしばしば。

そんな時に使えるのが、専門家=プロフェッショナルによるボランティアの「プロボノ」という考え方です。
これは専門家がその経験とスキルを社会貢献のために、お金による対価をとらずに提供する仕組みです。
例えば弁護士がちょっとした法律セミナーを地域でやるとか、システムエンジニアスマートフォンの設定をしてあげるとか。

ただ、ここで注意しなければいけないのは、何でもかんでもプロボノでやってもらうことはできない、ということです。
専門家の人たちは、その経験やスキルで生計を立てています。
ゆえに、専門家も全ての時間をプロボノに当てることはできません。
また利用する側も、全面的にプロボノに頼れば、ただの依存体質になります。
依存しすぎれば、せっかくプロボノで協力してくれている専門家も嫌気がさしていなくなってしまいます。

では、どうするか。
提供する専門家は、プロボノとしてどこまで提供するかを決めておくことが必要です。
有料で提供しているサービスをそのまま提供しては、お金を払ってくれているお客様にはとても失礼なことになってしまいます。
また、自分なりにプロボノとして活動する理由をもつことも必要です。
それは先々に仕事になるから、というものでも構いません。
理由がなく勢いと惰性だけでは、長くは続きません。

利用する側は、本当はタダでやってもらえるものではない、ということをちゃんと意識しておくことが必要です。
お金は払えなくとも、それに代わる感謝を伝えることは最低限必要です。
また、お金を払うべきものには、いくら専門家がいらないと言っても払うだけの筋を通すことが必要です。
なにより、プロボノで関わってくれる専門家と本当によい人間関係を築き、お互いの価値観を尊重して行くことが大事になります。

プロボノで専門家の協力を得ることは、地域の課題を解決する糸口になります。
ただ、そこには専門家を含めた地域社会の健全で良好な関係性と、対価を払うべきときには払う・取るべきときは取る、というバランス感覚が必要になるわけです。
そうした部分まで含めて文化として根付いたら、もしかしたらすごくいろんな課題も解決できて、新しいこともたくさんできる地域社会を作れるかもしれませんね。

文責:リサーチャー 渋谷