FM KITAQ 78.5 「KITAQ企画会議」

毎週金曜日21:00~ FM KITAQにて放送中の「KITAQ企画会議」公式ブログです。

【今週のキーワード】「ユニバーサル・デザイン」

○ざっくりいうと・・・
老若男女を問わず、経験や知識の有無を問わず、心身の状態を問わず、その他の状況を問わず、本当に誰にとっても負担なく・気持ち良く・使えるもの・こと。行き着くところは、心配りの結晶。

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○ちょっと詳しく・・・

私たちが暮らす社会には、私たち人間が作ってきた"もの"や"サービス"が本当にたくさんあります。
そりゃそうですね。
大きなものでは、道路や駅、電車や自動車、レストランにコンビニ、家などなど。
身近なところなら、カバンやくつ、ペンなどの文房具、食器類などなど。
普段当たり前につかってるものやサービスがたくさんあります。

でもこうしたものやサービスの多くは、"大多数の人が使いやすい"という"想定"で作られているんですよね。
言い方を変えると、少数派になっちゃうひとのことは無視してたりします。
しかも、作り手の都合で"たぶん、これでいいだろう"という想定だけで作られてしまうことも少なくありません。

具体的にいうと、例えば何気無く歩道にある縁石。
どこまでを歩道とするか、敷地の区切りをつけるか、といったものをわかりやすくしてくれてます。
でもこれ、車椅子の人にとっては、結構なハードルになっちゃうんですよね。
他にもトイレ。
小さな子どもを連れているとき、しかもだれにも預けられないような時、何にも準備がないトイレだとお父さんお母さんは用をたすのも一苦労です。
あとは看板。
外国人の観光客が来るからと、日本語を単純に翻訳してしまった結果、海外で見かける変なか日本語の看板と同じ状態になって、全然通じてない、なんてことも。
こんな状態ってあんまり優しくないですよね。
だから、こうした使い手の状況も考えて、本当に誰にとっても"いいもの"、"いいサービス"を作る、つまりユニバーサル・デザインをやることが求められるわけです。

もちろん、ビジネスライクに考えたら、"大多数だけをおさえておけばいい"、という発想もわかります。
また、"プロの作り手として、真剣に考えた結果"ということで、作り手の想定で通すのも悪いわけじゃありません。
でも、最近はビジネスライクに考えてもユニバーサル・デザインであるほうが有利なんです。

標準的なものやサービスを使ってくれる多数派が全体の9割を占めていれば、多数派だけ考えてもビジネス的にはOKです。
しかし、最近はこの標準的なものやサービスを使ってくれる多数派が占める割合が減ってきてます。
逆に色んな種類の少数派が増えている、という状況です。
選挙でいえば、票が割れまくった結果、得票率30%でも当選しちゃう、といった状況です。
しかも多数派のゾーンにはたくさんの競争相手もきます。
そんな状況じゃ、多数派をおさえたとしてもビジネスとしてはイマイチですよね。
であればユニバーサル・デザインというものを取り入れて、少数派もちゃんとケアしたほうが、ビジネスとしては伸びしろができる、というわけです。

もはやユニバーサル・デザインは、ものごとを考える前提におくぐらいが、ちょうどいいのかもしれませんね。

文責:リサーチャー 渋谷